Ulysses at Random

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』をランダムに読んでいくブログです

12 (U290.264)

 しかしイーディは彼にひどくおかんむり。

 

第12投。290ページの264行目。

 

 

But Edy got as cross as two sticks about him getting his own way like that from everyone always petting him.

—I’d like to give him something, she said, so I would, where I won’t say.

—On the beeoteetom, laughed Cissy merrily.

 

しかしイーディは彼にひどくおかんむり。みんながいつもかわいがるからあんなふうにわがままになる。

-あの子にあれしてやりたい、彼女は言った、言いたくないところに。

-おちりをね、シシーは陽気に笑った。

 

 

第13章。サンディマウントの海岸。三人の少女が子供のおもりをしている。

 

イーディー・ボードマンは乳母車に赤ちゃんをのせ,シシー・キャフリーは双子の弟トミーとジャッキーを連れている。トミーが赤ん坊のボールを欲しがるのでイーディが怒っている。

 

Butは通俗小説的な文体をかもし出している。as cross as two sticksとはcrossに「交差」と「機嫌が悪い」の二義があることに掛けた慣用句。beeoteetomは尻(bottom)というのをはばかりB・O・T・tomと言い換えている。

 

ジョイスは、第18章について、①because, ②bottom,③ woman, ④yes の4語は女性の4つの極をあらわす言葉と説明し多用している。(Frank Budgen宛て1921年8月16日の手紙 )第13章にもbecauseがたくさん使われている。

 

f:id:ulysses0616:20201120225515j:plain

サンディマウントストランド(Sandymount Strand)

 "Afternoon light, Sandymount Strand" by Michael Foley Photography is licensed under CC BY-NC-ND 2.0