Ulysses at Random

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』をランダムに読んでいくブログです

14 (U120.955)

ぴょんぴょん跳ねる新聞売りの少年の一群が

 第14投。120ページ、955行目。

 

 

A bevy of scampering newsboys rushed down the steps, scattering in all directions, yelling, their white papers fluttering. Hard after them Myles Crawford appeared on the steps, his hat aureoling his scarlet face, talking with J. J. O’Molloy.

 

ぴょんぴょん跳ねる新聞売りの少年の一群が階段を駆け下りてきて、ちりぢりの方へ わーわー叫びながら、白い新聞をひらひらさせる。彼らのすぐあとからマイルズ・クローフォードが階段上に現れた。赤ら顔に帽子を阿弥陀にかぶって、J.J.オモロイと話している。

 

またもや第7章。スティーヴンとマッキュー先生が新聞社をでてアビー通りを左へ。そのあとを編集長のクローフォードが弁護士のオモロイと出てきたところ。

日本語は「リンリン」のように、音をそのまま描写する擬音語が多いが、英語では“jingleのように音が動詞に組み込まれている。ここはそういった動詞、scampering, scattering, yelling, fluttering.が重ねられている。

hardは、接近して、すぐ近くとの意。aureoling はaureole(光輪)を動詞にしたものだが、驚いたことに日本語には阿弥陀という言葉がある。クローフォードの顔が赤いのは昼間から酒を飲んでいるから。

 

この小説『ユリシーズ』では階段が印象的に使われている。小説は、マリガンが階段の上に現れるところから始まる(U3.1)。今朝、ブルーム家の猫が階段の上にいた(U309.1134)(U629.937)。

 

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新聞売りの少年(Newsboys)

"LC-DIG-nclc-03469 Newsboys Mixed Race" by Children's Bureau Centennial is licensed under CC BY 2.0

 

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