彼はあのときのことを忘れているのかしら
第117投。636ページ、1253行目。
I dont know what he forgets that wethen I dont Ill make him do it again if he doesnt mind himself and lock him down to sleep in the coalcellar with the blackbeetles I wonder was it her Josie off her head with my castoffs hes such a born liar too no hed never have the courage with a married woman thats why he wants me and Boylan
彼はあのときのことを忘れているのかしらわたしは忘れていないけどかまわないならまたやってもいいわでも石炭部屋に閉じ込めてやるゴキブリと寝ればいいあれはジョージーだったかしらわたしの古着に目の色かえて彼も根っからの嘘つきだしいいえ人妻と関係する勇気なんかないさだからわたしをボイランとさせたがるのか
第18章。最終章。ブルーム氏の妻のモリ―の寝床での心中。ピリオドもコンマもない単語の長大な連なり、8つでできている。ここはその7つ目の中間あたり。
モリーの夢うつつの思考は句読点のない文章で、意味がわかりにくい。ここの「彼」とは夫のブルーム氏のこと。彼が忘れていることはなんだろう。昔に浮気したことだろうか。ジョージ―とは、ブルームの元カノのジョージ―・ブリーン。いまはデニス・ブリーンの妻。
モリーは、ブルーム家がホリス通りに会ったころ、1894年~5年ごろ、ブルーム氏が失業していたから、古着を売ったり貸衣装をしたりしていた。それで古着の,ことがでてくる。貸衣装のことについて第19回、ホリス通りのことについては第99回で触れました。
ブルーム氏は、今日も昼間にモリーが愛人のボイランと会うのを知りながらそれを妨げる様子もなかった。モリーは、ブルーム氏はジョージ―と浮気したいので、モリーがボイランと関係すればいいと思っているのではないかと推測している。
ブログの第83回でふれたとおり、ブルーム家はジョージアン様式の建物。家の前にコール・ホール(石炭孔)という小さいマンホールのようなものがあり、その地下に石炭倉庫があった。石炭はコール・ホールから供給されていた。
路面にあるのがコール・ホール。
"Coal Hole cover Fitzwilliam St. Dublin" by Michael Foley Photography is licensed under CC BY-NC-ND 2.0.
コール・ホールの下にコール・セラー(石炭倉庫)があり、地階に入り口がある。
ブルーム氏はここに閉じ込められたわけだ。
"Entrance to the coal cellar." by Michael Foley Photography is licensed under CC BY-NC-ND 2.0.
このブログの方法については☞こちら