おやまあミスガルブレイスをみてよ
第65投。618ページ、478行目。
what O well look at that Mrs Galbraith shes much older than me I saw her when I was out last week her beautys on the wane she was a lovely woman magnificent head of hair on her down to her waist tossing it back like that like Kitty OShea in Grantham street 1st thing I did every morning to look across see her combing it as if she loved it and was full of it
おやまあミスガルブレイスをみてよわたしよりだいぶ年上で先週外出したとき見たわあの人の美貌も衰えたわね素敵な女だった見事な髪形で腰のあたりまで後ろにたらしてそうグランサム通りにいたキティオシーみたい毎朝一番に目にしたのはあの人が髪をとかすところ愛しみ満ち満ちて
第18章。最終章はブルーム氏の妻のモリ―の心中。36ページあるが、ピリオドもコンマもない単語の連なり、8つでできている。
ここではモリーが自分の年齢と容色について思いを巡らせている。
ミス・ガルブレイスというのは、第15章でブルーム氏が娼館から逃走するときの幻想場面でこの小説の登場人物が大勢登場する場面にちらりと顔を見せるが、誰だかは不明。(U479.4358)
キティ・オシーといえば、アイルランドの著名な政治家チャールズ・スチュワート・パーネル(Charles Stewart Parnell、1846 - 1891)の愛人だったキャサリーン・オシー(Katharine O'Shea 1846 – 1921, あだ名がキティ・オシー)を思わせる。
O’Sheaの発音はオシェイではなくオシーが正しいという。(丸谷才一「神話とスキャンダル」 『6月16日の花火』 岩波書店 1986年)
アイルランド自治運動の指導者だったパーネルは同僚の議員ウィリー・オシーの妻であるキャサリーン・オシーと不倫関係にあり、そのスキャンダルにより政治家として失墜し、アイルランドの自治運動も打撃を被った。キャサリーンはこの小説の現在1904年、存命だが英国にいたはずで、ダブリンのグランサム通り(Grantham St.)にいるはずがないので同名の別人と考えられる。
モリーとブルーム氏は結婚後プレザンツ通り(Pleasants St.)に住んでいる。グランサム通りはその一本南の通り。モリーはそのころこの通りに住んでいるオシーをが知っていたということだろう。
パーネルの不倫はこの小説の重要なモチーフとなっている。
パーネルの愛人だったキャサリーン・オシー
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KittyOShea.jpg
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