Ulysses at Random

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』をランダムに読んでいくブログです

99 (U609.58)

オンタリオテラスにいたころのメアリみたいなあばずれ女

 

第99投。609ページ、58行目。

 

like that slut that Mary we had in Ontario terrace padding out her false bottom to excite him bad enough to get the smell of those painted women off him once or twice I had a suspicion by getting him to come near me when I found the long hair on his coat without that one when I went into the kitchen pretending he was drinking water

オンタリオテラスにいたころのメアリみたいなあばずれ女お尻にパッドをいれて誘惑した彼からあんな厚化粧女の匂いをかぐのはうんざり何度もあやしいことがあったわたしのそばにこさせたら上着に長い髪がついていたしそれとは別にわたしが台所におりていったら水を飲んでいるふりをしたり

 

第18章。最終章。ブルーム氏の妻のモリ―の寝床での心中。ピリオドもコンマもない単語の長大な連なり、8つでできている。ここはその1つ目のはじめのほうの一節。

 

モリーはブルーム氏がほかの女に手を出したこと想起している。メアリはブルーム家に来ていた女中のメアリ・ドリスコル。第15章でブルーム氏の罪を告発する幻想の裁判の場面にドリスコルは召喚されている。(U375.868-)

 

今回はとくに掘り下げることもないので、ブルーム氏がこれまで住んでいたと、小説上わかる場所をダブリン地図にマークしてみた。

 

Eason's new plan of Dublin and suburbs / Eason & Son, Ltd.(1908)

 

①クランブラシル通り52番地 52 Clanbrassil St.

  1866年~ ブルーム氏生まれたときの住所

 ブルーム氏を記念する看板がつけられた建物が今もある。

②プレザンツ通り Pleasants St.

  1888年~ ブルーム氏がモリーと結婚した頃の住所

③西ロンバート通り Lomberd St West

  1892年~

④レイモンドテラス Raymond Terrace

  1893年

⑤シティーアームズホテル  City Arms Hotel, 54 Prussia St.

  1893年~  

  現在は大学Free University of Ireland  と パブ Clarkes City Arms

 になっている。→ the National Inventory of Architectural Heritage (NIAH) 

 

⑥ホリス通り Holles St.

  1894年~

オンタリオテラス  Ontario Terrace

  1897年~

  今回のブログに出てきた場所で、モリーが思い出しているのはこの時代。

⑧エクルズ通り7番地   7 Eccles St.

  1903年

  小説の現在(1904年)のブルーム夫妻の住居。

  現在は病院 Mater Private Dublin になっている。

 

        現在のオンタリオテラス Ontario Terrace の建物

 

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