Ulysses at Random

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』をランダムに読んでいくブログです

125 (U558.560)

いかなる気質を2人は個々に体現していたか。

第125投。558べージ、560行目。

 

 What two temperaments did they individually represent?

 

 The scientific. The artistic.

 

 What proofs did Bloom adduce to prove that his tendency was towards applied, rather than towards pure, science?

 

 Certain possible inventions of which he had cogitated when reclining in a state of supine repletion to aid digestion, stimulated by his appreciation of the importance of inventions now common but once revolutionary, for example, the aeronautic parachute, the reflecting telescope, the spiral corkscrew, the safety pin, the mineral water siphon, the canal lock with winch and sluice, the suction pump.

 

 いかなる気質を2人は個々に体現していたか。

 

 科学的。芸術的。

 

 ブルームは彼の傾向性が純粋よりむしろ応用科学の方向にあったことを証明するいかなる証拠を提示したか。

 

 懶惰な満腹状態において消化促進のための横臥時に考案され得たいくつかの発明、その重要性の認識に刺激されたものであり、現在では目新しくないがかつては革新的であった、例えば、航空用パラシュート、反射望遠鏡、螺旋状栓抜き、安全ピン、鉱泉水のサイフォン、ウィンチと水門を備えた運河の閘門、吸引ポンプといったものである。

 

第17章。この章は始めから終わりまで、問と答で書かれている。ブルーム氏とスティーヴンの気質の違いについての問いと答え、2つ。

 

ブルーム氏がなすことのなかった偉大な発明が列記されている。ブルーム氏が応用科学への性向を持つとされているが、確かに、彼は発明好きで、小説中で度々新規の発明考案を思いついている。

 

第6章

葬儀へ向かう馬車の窓越しに、転轍手の姿をみて、自動の転轍装置のことを考える。(ブログの第49回

 

同じく、馬車から、畜牛の群れを見て、線路を埠頭まで敷設して家畜を船まで貨車で運べばいい、墓地まで線路を引いて市営の葬儀電車を走らせたらいいと、日ごろの思いつきを披露する。

 

ディグナムの埋葬に参列して、滑り板がついた死体を乗せる台が発明できないものかと思いつく。

 

さらに、生きたまま埋葬されることを恐怖し、棺の中に電気時計や電話を備え付けて空気穴をつけるべき思う。

 

墓をみれば生前の職業がわかるようにすればいいのにと思う。(ブログの第77回

 

第8章

川に浮かべた船に出した広告を見て、昔に文房具屋で働いていた頃、ガラス張りの馬車で娘が2人手紙を書いている宣伝を考案したことを思い出す。

 

有刺鉄線は尼さんが発明したという説を思い出す。

 

ピュアフォイ夫人の陣痛のことを聞いて、お産のときの麻酔を発明すべきと思う。

 

発明家トム・ロチフォードの発明に興味を示し、発明家が自由に集って発明できる会館があったらいいのにと思う。

 

このように、ブルーム氏は発明への興味はあって、思い付きはするのだが、その原理を科学的に考案することは全くない。

    

安全ピンの特許明細書より

File:Patent 6281.jpg - Wikimedia Commons

 

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